【介護予防コラム66】あなたやご家族も関係あるかも? 「心不全パンデミック」とは

心不全パンデミックとは?

「心不全パンデミック」という言葉をご存じでしょうか?

出典:NHK「きょうの健康」公式ブログ『心不全パンデミックとは』2024年 5月28日公開(https://www.nhk.jp

これは、高齢化の進展などを背景に、心不全を抱える患者さんが急増し、医療や介護など社会全体に大きな影響を与えている現状を指す言葉です。心不全とは、心臓のポンプ機能が低下して、全身に十分な血液を送り出すことができなくなる状態をいいます。これにより、息切れやむくみ、疲れやすさなど、日常生活にさまざまな支障が生じます。日本では現在、約100万人が心不全を抱えているとされており、2035年にはさらに増加することが予測されています。まさに「パンデミック(感染症の世界的流行)」のように、心不全が広がっているのです。

出典:公益財団法人 日本心臓財団「心不全ってどんな病気?」(https://www.jhf.or.jp

心不全になるとどうなるの?

心不全には、以下のようなさまざまな症状が現れます。

出典:社会福祉法人恩腸財団済生会山形済生病院 健康コラム 第42話 「心不全(しんふぜん)とその予防」(https://www.ameria.org/column/2017/03/42.html

また、心不全は一度落ち着いたように見えても、再び悪化を繰り返す特徴があります。初期の段階では軽度の症状でも、時間とともに進行していく可能性があります。

出典:日本循環器学会/日本心不全学会『急性・慢性心不全診療ガイドライン(2021年改訂版)』

再発の要因としては、風邪や感染症、塩分の摂りすぎ、薬の飲み忘れ、ストレスなど、日常生活のささいな変化が影響することもあります。

出典:公益財団法人 日本心臓財団「心不全の再発予防」(https://www.jhf.or.jp

 

特に高齢の方は、体調管理や服薬、食事制限などを自分で管理することが難しいことも少なくありません。そのため、家族や医療・介護のサポートがとても重要になります。

 

心不全パンデミックへの対策

「心不全パンデミック」と呼ばれるこの深刻な状況に立ち向かうには、予防・早期発見・継続的なサポートが柱となります。ここでは、特に重要な3つの視点をご紹介します。

◎予防
高血圧、高脂血症、糖尿病などの生活習慣病を予防し、心不全のリスクを低減させることが重要です.。日々の暮らしの中で、「心臓にやさしい生活習慣」を意識することも、発症や再発のリスクを減らすカギとなります。次の章では、心臓を守るために気をつけたいポイントをご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

◎早期診断と治療
心不全のサインは、息切れ・むくみ・だるさなど、一見「年のせいかな?」と思ってしまうような症状から始まることもあります。そのため、「いつもと違う」と感じたら、早めに医療機関を受診することが大切です。早期に診断・治療を行うことで、進行を食い止めることができます。

◎患者支援
心不全は慢性的な病気であり、医療だけでなく生活全体を支えるサポート体制が必要です。ご本人はもちろん、ご家族が安心して生活できるよう、地域の支援制度や介護サービスの活用も大切です。

心臓を守るために気をつけたい6つのポイント

心臓の健康を保つためには、日々の生活習慣を見直すことがとても大切です。ここでは、今日から実践できる6つのポイントをご紹介します。

適切な食事
塩分の摂りすぎは心臓に負担をかけるため、控えめにすることが大切です。果物や野菜、魚などをバランスよく取り入れた食事を心がけましょう。

適度な運動
毎日の中で体を動かす習慣を取り入れると、血流が良くなり、心臓の負担を軽減できます。ウォーキングなどの軽い運動から始めるのもおすすめです。

禁煙
タバコに含まれる有害物質は、血管を傷つけ、心臓病のリスクを高めます。禁煙は、心臓の健康にとって最も効果的な予防策のひとつです。

④アルコールの適量摂取
過剰な飲酒は心臓に悪影響を与えますので適量の飲酒を心がけましょう。

⑤ストレス管理
強いストレスが続くと、自律神経が乱れ、心臓に悪影響を及ぼすことがあります。ストレスを軽減するための方法(運動、瞑想、趣味など)を見つけましょう。

⑥睡眠の確保
しっかりと休息をとることで、心臓も体もリフレッシュされます。寝る前はスマートフォンを控え、規則正しい生活リズムを整えることが、良い睡眠につながります。

まとめ

心不全は、一度発症すると完治することは難しいですが、適切な治療や日常生活の工夫によって症状を安定させることができます。また、再発を防ぐことが生活の質(QOL)を保ち、笑顔ある毎日につながります。私たち「レッツリハ!」では、医療や運動の専門スタッフが、体調管理に配慮しながら皆さまの健康維持をサポートしています。「笑顔で、自分らしい生活を続ける」ために、これからも一緒に心と体を整えていきましょう!

気になることや不安がある方は、ぜひお気軽にレッツリハ!までお問い合わせください。

 

今回の執筆者は…

Let‘sリハ!わさだ店
理学療法士 宮野 元樹

レッツリハ!を体験する

近くの店舗を見つける