【介護予防コラム⑫】骨粗鬆症は栄養と運動で予防できる?!
今回は「骨粗鬆症」の原因と予防方法をテーマにお伝えしていきます。骨粗鬆症は身近な病気ですが、栄養と運動から予防できる部分もあるので参考にしてみてくださいね!
Table of Contents
骨粗鬆症とは?
骨の量(骨量)が減り、スカスカになりもろくなって骨折しやすくなる病気です。
骨粗鬆症により骨がもろくなると、つまずいて手や肘をついたり、くしゃみや咳などのわずかな衝撃で骨折してしまうことがあります。生命をおびやかす病気ではないものの、骨粗鬆症による骨折から介護が必要になってしまう人も少なくありません。
骨粗鬆症は自覚症状がないことが多く、定期的に骨密度検査を受けるなど日頃から細やかなチェックが必要です。
骨粗鬆症の原因 ~骨粗鬆症は女性に多い?!~
骨粗鬆症は圧倒的に女性に多い病気です。閉経を迎える50歳前後から骨量が急激に減少し、60歳代では2人に1人、 70歳以上になると10人に7人が骨粗鬆症といわれています。これは、女性ホルモン(エストロゲン)が骨の新陳代謝に関わっているからです。その他にも、年齢や遺伝的な体質、偏食や極端なダイエット、喫煙や過度の飲酒、運動習慣なども骨粗鬆症の原因として考えられており、最近では、若い女性の骨粗鬆症も問題になっています。
※他の病気の影響によって骨粗鬆症になりやすくなる場合もあります。
骨粗鬆症の原因 ~日本人はカルシウム不足?~
カルシウムがたっぷり含まれる食品は限られており、吸収率の悪い栄養素でもあります。心がけてカルシウムの多い食品を選ばないと、知らず知らずのうちに不足してしまいます。その上、加齢により小食になるとカルシウムを摂る量も減り、腸でのカルシウムの吸収も悪くなってきますので、若いときよりいっそう食事への配慮が必要となります。
このほかカルシウムが不足する原因には、日本の水があります。日本の水は軟水でカルシウムの含有率が低く、飲用水だけでなく、野菜をはじめとした植物性の食物に含まれるカルシウム分も硬水のヨーロッパなどに比べて少ないんです。また、伝統的な和食には乳製品が少なく、食材・食文化ともにカルシウム不足になりがちと言えるかもしれません。
骨粗鬆症によって骨折しやすい部位は?
背骨(脊椎椎体)、脚の付け根(大腿骨近位部)、手首(橈骨:とうこつ)、腕の付け根(上腕骨)です。背骨が体の重みで押し潰れてしまうことを「圧迫骨折」と言い、背中や腰が曲がるなどの原因となります。圧迫骨折が生じても、単なる腰痛として見過ごしていたり、痛みを感じなかったりすることもあります。
1ヵ所骨折すると、その周囲の骨にも負担がかかり、連鎖的な骨折につながりやすいため、早期発見・早期治療が重要です。脚の付け根(大腿骨近位部)は、骨折すると歩行が困難になり要介護状態になるリスクが高い部位です。 足の付け根の骨折の85%は転倒が直接の原因となっていますので、骨粗しょう症の治療とともに転倒予防も重要になってきます!
骨粗鬆症の予防方法 食事編
骨粗鬆症予防のためには、カルシウムとカルシウムの吸収を助けるビタミンDを多く含む食品をとることが大切です。
しかし、原因のところでお話した通り、日本人は土壌の上でも食習慣の上でもカルシウムが不足しがちです。いろいろな種類の食品をバランスよく、しっかり食べることを基本としつつ、意識してカルシウムを摂るよう心がけましょう。目安としては、毎日の食卓にあと200ミリグラム(牛乳1本、豆腐半丁程度)のカルシウムをプラスしてみてください。
「カルシウムの摂りすぎは良くないって聞くけど…」
と思われた方もいらっしゃるのではないかと思います。厚生労働省ではカルシウム摂取量の上限値を2300mgと定めています。牛乳の量に換算すると約2リットル。なかなか毎日飲める量ではありません。厚生労働省が奨励するカルシウム摂取量が700mg前後と少なめなので、摂りすぎる方がむずかしいかもしれません。安心して、カルシウム多めの食生活を心掛けてみてください。
カルシウムを助ける栄養素も、併せて摂ることをおススメします!
ビタミンD⇒カルシウムの吸収や骨の形成を助ける
ビタミンK⇒カルシウムの沈着を助け、流出を抑制する
骨粗鬆症の予防方法 運動編
骨粗鬆症予防の運動でのポイントは、毎日コツコツと続けること。無理に激しい運動をする必要はありません。骨には繰り返し力をかけることで強くなる性質があります。運動に限らず、家事でも散歩でも大丈夫です。身体を動かす習慣をつくり、継続して行うことで効果が期待できます。
外出が難しい場合は、室内でできる運動をしてみましょう!
立ち上がりやスクワット、膝の曲げ伸ばしやもも上げでもOKです。
ここでは3つの運動をご紹介します。
①腰のストレッチ
四つ這いになり、息を吐きながらそのままお尻を後ろに引いてください。腰痛のある方は痛みのない範囲でとめてください。
②お尻上げ
仰向けになり、両膝を立てて、息を吐きながらお尻を持ち上げます。腰痛のある方は痛みのない範囲でとめてください。
③SLR(膝を伸ばしたままの足上げ)
仰向けになり、両膝を伸ばします。片膝を伸ばしたまま、床から10~15㎝持ち上げます。できるだけ腰が反らない範囲で上に持ち上げましょう。反対側も同様に行います。
膝や腰に痛みのある場合は、片膝を曲げて、持ち上げてください。反対側も同様に行います。
骨粗鬆症の予防方法 日光浴編
「食事編」でビタミンDがカルシウムの吸収を助けてくれるというお話をしましたが、ビタミンDを摂る方法はもう一つあります。日光浴です。
紫外線を浴びると、皮膚ではビタミンDが生成されます。目安としては、冬は1時間程度、夏は30分程度くらい日に当たるとよいとされています。夏の直射日光は日焼けを起こしたりするのでおすすめできませんが、木陰での日光浴でも十分効果が期待できます。
また、ガラスは紫外線を遮るので、室内では日光浴の効果が期待できませんので、食事からしっかりビタミンDを摂るよう心がけましょう。
まとめ
骨粗鬆症は栄養と運動習慣で予防しましょう! 心がけてカルシウムを含む食品を取り入れること、運動を習慣化することが秘訣です。運動と日光浴を兼ねて外へお散歩に行き、帰ってきたら牛乳を飲む、なんていかがでしょうか。ご参考になれば幸いです!
今回の執筆者は…
レッツリハ!名古屋葵
理学療法士 亀谷 美紀