【介護予防コラム⑮】
膝に痛みのある人にオススメの運動と、 日常生活で気を付けるべき3つのこと。

シニア世代に多い、膝が痛くて運動できない、階段をのぼるのがつらいというお悩み。レッツリハ!でも、よくご相談を受けます。動くと痛い、痛いから動かすのがこわいと思うのは当然のことだと思います。しかし、動かさなければ、筋力の低下や靭帯などの柔軟性が低下につながり、さらに膝への負担が増加して関節が硬くなってしまうんです。では、どうすれば…?

今回は、そんなやっかいな膝の痛みにお困りの方にオススメの運動と日常生活のポイントをお伝えします!

まずは膝の痛みの原因を知ろう! ~変形性膝関節症とは~

膝に痛みが出て病院へ行くと、水が溜まっていると言われたという話はよく聞かれるのではないでしょうか。それは、変形性膝関節症という膝関節の病気です。クッションの役割を果たしている膝の軟骨が、加齢や筋肉の減少によってすり減ることで起こります。進行すると骨と骨が直接ぶつかり、激しい膝の痛みを引き起こします。男女比は1:4と圧倒的に女性に多く、筋肉量の問題・ホルモンの関係・体重増減の関係・出産などが原因だと言われています。

どんな治療法・予防法があるの?

変形性膝関節症の進行度合いによって、治療法が異なります。初期では痛みをやわらげつつ、膝まわりの機能を改善して負担を軽くしていきます。末期症状にまで進行すると、手術が必要となることがあります。

治療法:初期症状
  • 運動療法:適切な運動を習得し、筋力向上や姿勢改善などを目的に行います。
  • 徒手療法:人の手によって、関節の可動域向上・筋の柔軟性の向上などを目的に行います。
  • 物理療法:様々な機器を使用し、痛みの緩和・血流改善などを目的に行います。
  • 装具療法:足底板や関節装具を使用し、関節の安定性向上・症状緩和などを目的に行います。
治療法:末期症状

変形や痛み、水の溜まりが酷い場合は整形外科医と相談の上、手術により関節に金属や樹脂の人工物に入れ替える方法があります

膝の痛みのある人にオススメの、自宅でできる運動

膝の痛みにお悩みの方にオススメしたい、ストレッチ&筋トレをご紹介します。痛みの原因は膝関節の周囲を支えていた筋力の低下が大きく影響しているので、柔軟性を高めて筋力をつけることが大切です。ストレッチは毎日コツコツ、筋トレはきつくなければ毎日、「きついかな」と思ったら2日おきに行いましょう。どちらもする日は、ストレッチ→筋トレの順で行い、できれば最後に軽くストレッチをしていただくとより効果的です。いずれも無理は禁物ですよ!

運動する前に確認しておきたいポイント

  • 痛みのない範囲で行いましょう。
  • がんばりすぎは逆効果です。
  • ゆっくり・大きく呼吸をしながら運動しましょう。
  • 悪い方の足だけではなく、両方の足を運動しましょう。

    ストレッチ編

    1.膝の曲げ伸ばし

    床に座り、かかとを付けたまま膝をゆっくりと曲げていき、5秒間キープします。その後、ゆっくりと膝を伸ばしていきます。

    2.脚の後ろ側を伸ばす

    床に座り、背筋を真っすぐに伸ばし、両足を前に出て5秒間キープします。その後、上体を前にゆっくりと倒しながら足首を曲げていきます。
    ポイント:膝を曲げない

    筋力トレーニング編

    1.太ももの前の筋肉を鍛える運動

    床に座ったまま、膝の下にクッションや枕などをはさみます。その後、膝の下にはさんだクッションを、つぶすように膝を伸ばしていきます。
    鍛える筋肉:大腿四頭筋

    2.太ももの外側の筋肉を鍛える運動

    横向きに寝ころび、下の足は膝を曲げた状態からスタート。上側の足を上に引き上げます。
    鍛える筋肉:中殿筋

    3.太ももの後ろの筋肉を鍛える運動

    仰向けになり、膝を90度曲げお尻を上げていきます。
    鍛える筋肉:ハムストリングス

    ※腰が痛い人は控えましょう!

    4.ふくらはぎの前後の筋肉を鍛える運動

    椅子に浅く腰を掛け、床にしっかりと足を付けます。その後、ゆっくりとつま先上げ→かかと上げを行います。
    鍛える筋肉:下腿三頭筋(腓腹筋・ヒラメ筋)

    膝が痛い人が日常生活で気を付けるべき、3つのこと。

    痛みのある方向けの、日常生活で注意するポイントをお伝えします。

    冒頭にお伝えしたように、膝の痛みは膝関節の軟骨がすり減ってくることで起こります。膝の軟骨がすり減る原因は筋力の低下や負担の積み重なりです。この3つのポイントに毎日気を付けて生活することで、膝関節のすり減りを抑え、症状の進行を予防することができます。

    運動する前や動き出す前に、少し足を動かす。
    杖で歩く際は痛い膝と反対の手で杖を付く。痛みの助長を防ぎます。
    階段や段差:昇りは良い足から、降りは悪い足から踏み出す。

    まとめ

    膝の痛みについて、原因と運動のコツ、膝の関節を長く保つをお伝えしてまいりました。あとひとつ、付け加えさせていただきたいのが「体重の増加は膝へのストレスに大きく直結する」ということ。膝が支えなくてはならない体の重みが増えたら、それに耐えうる筋力をつけなくては痛みが増してしまうばかりです。よかったら食事にも注意していただき、より良い生活をお送りください!

    ※変形や腫脹など、痛みが強い場合は整形外科への受診をおすすめします。

    今回の執筆者は…

     

    Let’s リハ!谷中言問
    理学療法士

    小野 雄大