【介護予防コラム 43】若さの秘訣は刺激!? 老年症候群を予防しよう!

「年を取ると、体力が落ちたり、物忘れが増えたりする」というイメージを持っていませんか?高齢になるとさまざまな変化が現れ、生活に影響を及ぼすことがあります。そのなかでも、最近注目されているのが「老年症候群」という言葉です。あまり聞きなれない言葉ですが、この老年症候群は介護やその予防と密接にかかわりのある言葉なのです。

ただの老化? 老年症候群とは

老年症候群とは加齢とともに現れる、複数の症状や疾患の集合体の事です。例えば足腰が弱くなったり、食が細くなって力が出なくなること、体のことだけではなく、昔のように趣味が楽しめなくなったといった意欲の減退も老年症候群に含まれます。ご自身や身の回りで当てはまる方もいらっしゃるのではないのでしょうか? これらの症状が絡み合いADL(日常生活動作)が低下していくと、要介護や寝たきりの状態になることもあります。

要介護の主な原因は、物覚えが悪くなった(認知症・16.4%)、心身が弱くなってくる(高齢による衰弱・13.9%)、足腰が痛い(関節疾患・11.0%)、転びやすくなった(骨折転倒・12.2%)といった老年症候群であり、要介護の原因の約半数を占めています。問題はこれらの症状を多くの人が年のせいと考え、あきらめてしまいがちな点です。

引用:内閣府 令和元年版高齢社会白書(全体版)の図を一部改変

刺激することで老年症候群は予防できる!

老年症候群は、年齢とともに現れる変化なので、予防することはできないと考える人もいるかもしれません。しかし、例えば筋力に注目すると、高齢者でもトレーニングによって筋力を増加することができ、潜在能力を引き出すことができます。実際に、どの年齢であっても、刺激を受けることによって体が活性化され、能力を向上させることができるのです。つまり、老年症候群の予防や既に現れている症状の改善には、「体を動かすこと」「バランスの取れた食事を摂ること」そして「新しい刺激を求めること」が大切です。これらの要素を意識して実践することで、老年症候群を予防し、進行を遅らせることができるのです。

高齢者こそ筋トレ!

老年症候群を予防するにあたって、「体を動かすこと」「バランスの取れた食事を摂ること」「新しい刺激を求めること」が出てきましたが、今回は「体を動かすこと」を少し詳しく説明します。高齢の方に勧める運動といえば、ウォーキングや椅子に座ったままの運動など、有酸素運動といわれる心肺負荷の運動や低負荷の運動が中心です。これも大事な運動のひとつですが、高齢の方にこそ筋トレが必要と考えます。自身の体重を支えて立ち上がる、力強く地面を蹴って歩く、お風呂をまたぐ、階段を昇るといった様々な動きに、太もも、ふくらはぎ、お尻といった下半身の筋力が必要です。これらの筋肉を鍛えるには、ただ歩く、ただ運動する、だけでは効果が少ないのです。中等度以上の負荷量(ややきつい程度の負荷)や、心拍数でいうと平常時より20ほど心拍数があがるような運動で鍛えていきましょう。

ゆっくり筋トレ

それではおすすめの下半身の運動を2つ紹介します。”4秒ゆっくり筋トレ”と呼ばれており、一般的にはスロートレーニングとも言われているものです。

座らずスクワット

お尻をつけずに椅子からのスクワット運動を繰り返しますが、立つのに4秒・座るのに4秒と時間をかけて行います。回数は10回を2セットほどで十分な効果があります。

座ってもも上げ

足は地面につけずにもも上げを繰り返します。スクワットと同様にそれぞれ4秒ずつかけて行います。もうひとつ大事なポイントは左右交互ではなく、片方ずつ運動を行う点です。集中的に片方を行うほうが効果が高いのです。

最後に

老年症候群は予防できると分かった事で、これを機会にぜひご自身の健康や運動習慣について考えてみてはいかがでしょうか?このコラムが参考になれば幸いと思います。レッツリハでは、運動や通いの場を提供することで、身体や頭に刺激を与え、老年症候群の予防のお手伝いをしています!  気になった方はお近くにある桜十字のリハビリジム、レッツリハ! までお問い合わせください! 

今回の執筆者は…

Let’s リハ!原田
理学療法士 中江 亮平

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