【介護予防コラム 47】デイサービスでウェルビーイングを実現しよう!

ウェルビーイング”という言葉を聞く機会が、最近多くなりましたよね。
スローガン的なものとして有名企業が使用したり、書籍の題名に用いているものもあるようですが、そもそも、”ウェルビーイング”とはどういうものなのでしょうか。

今回のコラムでは、”ウェルビーイング”をリハビリとの関わりから、見ていきたいと思います。

”ウェルビーイング”とは?

Well(よい)とBeing(状態)を組み合わせた言葉”Well-being”は、世界保健機関(WHO)憲章での提唱を元にした『肉体的、精神的、社会的すべての要素で満たされた、持続的な幸福な状態』を指します。 また、現在では常識となったSDGsの目標の一つにもなっています。

ウェルビーイング”での考え方では、「健康」とひとくくりに言っても単に疾病がない状態ということではなく、肉体的、精神的、そして社会的に、完全に満たされた状態にあることが、真の「健康」と言えるでしょう。

なお、”ウェルビーイング”は次の5つの要素で構成されています。

ウェルビーイングを構成する5つの要素

ウェルビーイングを構成する5つの要素

デイサービスでは、これらの要素を意識することで高齢者の”ウェルビーイング”の実現に影響を与えることができると、私たちは考えています。

Let’s リハ!における”ウェルビーイング”

前出した”ウェルビーイング”を構成する5つの要素について、Let’s リハ!が具体的に行っている例を当てはめてみます。

1)Positive Emotion(ポジティブな感情)

イベントとして運動会を実施し、チーム対抗戦を行いました。
・ 相手チームに勝つために、チーム内で協力し合う
・ 普段は感情を表に出さない人でも、勝利したことで喜びを露わにしていた

2)Engagement(何かへの没頭)

運動会の開催にあたり、イベントらしく室内を装飾しました。
・ 装飾を協力し合って作成した
・ 一人また一人と作業場に集まってきて、黙々と創作活動に集中していた

運動会の様子

背面の壁の茶色の花の装飾は封筒を使用して制作しました

3)Relationship(人との良い関係)

体調がベストではないので作業はできないけれど、おしゃべりだけでも参加を希望する方もいらっしゃいました。
・ 利用者間のコミュニケーションが良好な証

4)Meaning and Purpose(人生の意義や目的)

家族のイベントやお出かけを楽しむことを目的とする方もいらっしゃいます。
・ お孫さんや曾孫さんの成人式、結婚式に出席するため、下肢筋力を鍛えたい
・ 展覧会に行くために長距離歩行に耐えられる力を身につけたい

5)Achievement / Accomplish(達成)

明確な目標を立てて、達成する方もいらっしゃいます。
・ 杖なしでの歩行を目標とし、それを獲得して卒業

以上は一例となりますが、デイサービスでのリハビリテーションが”ウェルビーイング”の要素に通ずるものがあると認識できる部分が大いにあると考えています。

社会参加頻度と介護予防効果の関係

高齢者の社会参加を促進することは介護予防の面から見ても重要とされています。
次の図は、千葉大学の研究グループが約6年間、13市町の高齢者約52,000人に対し、社会参加の頻度を種類別に調査・分析し、期間中の要支援・要介護認定の関連を検証したものです。

社会参加の種類別の頻度と要支援・要介護認定

図:社会参加の種類別の頻度と要支援・要介護認定(n=51,968)
※nは調査対象の人数
※各活動への【参加なし】を1.00(基準)とし要支援・要介護認定を受ける確率を数値化
※HR(ハザード比)が1.00より小さい値ほど要支援・要介護認定を受ける確率が低い

その結果から、スポーツや趣味の会への参加頻度が高いほど、要支援・要介護認定リスクが低いことがうかがえます。
なお、町内会の参加についても、年数回または月1~3回の参加でも、まったく参加しない場合よりリスクが低くなっています。

※webサイト保健指導リソースガイドから抜粋
千葉大学:種類別の社会参加頻度の介護予防効果は!?より

このことから、スポーツや趣味などに参加することで得られる”ウェルビーイング”の要素が、要支援・要介護リスクの低下へも少なからず影響を与えているのではないか、と考えられます。

まとめ

現在では多くの地域で複数のデイサービスの施設が存在するようになりました。それぞれの施設が多くの方に快適にご利用いただくために、日々創意工夫をしながらサービスを行っています。そのような時代となった今、施設のサービスの特徴利用者のニーズがマッチングできるかどうかが重要です。 利用者それぞれの興味や生き甲斐などから”ウェルビーイング”を感じられるサービスを提供していくことがデイサービスの役割なのではないでしょうか。

Let’s リハ!では、ご興味や楽しみなども考慮しながらお一人おひとりの身体機能に合わせた効果的なリハビリをご提案しています。やりたいことがあるけどこんなところが難しい、、、など、お悩みをお持ちの際にはぜひ一度ご相談ください!

今回の執筆者は…

Let’s リハ!筑紫丘店
管理者(理学療法士) 北川 寛章

筑紫丘店_北川寛章

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