【介護予防コラム 52】熱中症の原理を理解し、暑さに負けないカラダを準備しよう!
寒い季節は過ぎ去り過ごしやすい日々がやってきましたね、というのも束の間!
4月も後半になれば、すぐに汗ばむ季節がやってきます。
気温の上昇とともに心配になるのが『熱中症』。今回は夏を健康で安全に楽しむために、『熱中症』について知っておくべきことを見ていきましょう。
Table of Contents
熱中症とは
高温や多湿にさらされることで体内の水分や塩分のバランスが崩れ、体温の調節ができなくなることで起こるさまざまな症状の総称です。
初期はめまいや立ちくらみなどの軽い症状で本人さえ気付かないこともよくありますが、重篤になると意識障害やその後遺症、さらには死に至る危険もある病気です。
熱中症の症状と重症度
熱中症には、4つの症状と3つの重症度があります。
重症度:Ⅰ度
A. 熱失神
全身の血液循環量が減少し、脳への血流が不足することでめまい、立ちくらみ、失神が生じる
B. 熱けいれん
大量発汗により血中ナトリウムが減少することで、こむら返り、硬直などが生じる
重症度:Ⅱ度
C. 熱疲労
大量発汗により脱水症状が現れ、頭痛、吐き気、嘔吐、全身の倦怠感が生じる
重症度Ⅲ度
D. 熱射病
脳における体温調節機能が失われ、体温が40℃以上になり発汗が止まる、また、意識障害がおこる
熱中症の因子
熱中症の因子はさまざまありますが、大きく分けると以下の3つが挙げられます。
今回は、上の①~④の要因について、紹介してまいります。
① 湿度が高いと暑くなる?
なぜ湿度が高いと暑く感じ、熱中症になりやすのでしょうか?それは、気化熱が関係しています。
気化熱とは、液体が気体に変わる際に周囲の熱を吸収することをいいます。
濡れたままでいると寒くなりますよね。これは、濡れた皮膚の水分が蒸発する時の気化熱により、体温が奪われているためです。
そのためヒトは、暑いときに汗をかき、気化熱を利用して体温を下げて調節しています。
しかしこの時、湿度が高いとどうなるでしょうか?
湿度が高いと洗濯物がなかなか乾かないのと同じように、汗をかいても汗が蒸発しません。汗が蒸発しないと、気化熱を利用することができません。
これが湿度が高いと暑さを感じる理由です。
② 体水分量の維持が重要!
湿度が高いと体が脱水状態になる流れを見ていただきましたが、脱水により対水分量(血液量)は減少します。
ここに、水がなみなみ入ったものと半分しか入っていないものと2つのコップがあるとします。この2つのコップを温めようとしたとき、どちらが先に温まるでしょうか?
当然、水が半分のコップの方が早く温まります。この半分のコップの状態が脱水状態です。
このことから、体水分量を維持することが体温を上げないようにすること、つまり熱中症の基本対策となるのです。
③ 高齢者は脱水状態になりやすい
一般的な高齢者の体水分量は、一般成人と比較して10%少ないと言われています。
さらに、高齢者は口渇中枢の機能が低下し、体水分量が少ない状態であっても喉の渇きを感じにくくなっています。
また、高齢者の水分量が少ない理由として、骨格筋の減少が挙げられます。
骨格筋は動きや力を発揮するものだけでなく、水分を豊富に貯めることとができる貯水庫の役割もあります。
そのため、運動をして筋肉量を増やすことが脱水の予防、ひいては熱中症の予防につながるのです。
④ 暑さへの慣れ(暑熱順化)
身体の機能が暑さに適応することを「暑熱順化」といいます。
具体的には、汗をかきやすくなったり、汗をかいたときに体からナトリウムが失いにくくなることで、体温が上昇しにくくなります。
暑熱順化を獲得するために
暑熱順化には、個人差もありますが数日から2週間程度かかります。そのため、余裕をもって暑さ対策を始めましょう。
暑熱順化のタイミング
5月になると25℃以上の夏日となることがあり、暑さにも慣れていないことから熱中症のリスクが高まります。そのため4月下旬あたりから暑熱順化の準備を始めると良いでしょう。
※上記はあくまで目安となります。暑熱順化を確約できるものではありません。
※実施時は個人の体質・体調、その日の気温や室内環境に合わせて無理のない範囲で行ってください。
※運動時は屋外や室内の天気や気温などの環境の変化に注意し、水分や塩分を適宜補給し、熱中症に十分注意してください。
熱中症の予防と対策
以上のことから、熱中症を予防するために次の対策をしていきましょう。
① 高温多湿の環境に長時間さらさない
暑いときはエアコンを利用しましょう。エアコンは28℃以下に設定しておきましょう。
② 脱水状態にならないよう、水分補給はこまめに行う!
口渇に気づきにくい高齢者は飲水の時間を決めておくようにしましょう。また、筋トレなどの運動を行い、筋肉の量をできるだけ増やすよう心がけましょう。
③ 熱中症対策の運動は4月下旬には始める!
暑さに慣れるため、ウォーキングやジョギングなどの運動は、暑さが本格化してくる5月より前から行うようにしましょう。
まとめ
熱中症の主な原因について理解することにより、その対策が明確になったかと思います。やがて来る暑い季節を意識して、今から熱中症の対策に心がけましょう。
万が一、ご自分だけでの対策に自信が無かったり疑問をお持ちの場合は、お近くのレッツリハ!にご相談ください!熱中症にならないための運動やアドバイスをお一人おひとりに合わせてご提案いたします。暑さが本格化する前にカラダの準備を整えて、今年の夏も安心安全に楽しく過ごしましょう!
今回の執筆者は…
Let’s リハ!玉名築地店
管理者 理学療法士
五郎丸 剛士