【介護予防コラム72】「転ばぬ先」の身体づくり ー今日からできるバランス習慣

当コラムではこれまでも様々な視点から「転倒」というテーマを取り上げています。
3_転倒を予防していつまでも元気に!~サルコペニアを予防しよう~
9_ステップが転倒予防の肝!?
39_高齢者の「転倒」に要注意!自宅が危ない!? 転倒のリスクと予防方法
57_「転倒予防について今学ぶか、学ばないか」が、今後の生活を左右する!?

転倒による骨折は、日本において要支援・要介護状態になる原因の上位であり、特に高齢者の場合、加齢に伴う骨粗鬆症などの影響により、転倒が骨折につながりやすいのが現状です。介護のいらない自立した生活をできるだけ長く続けるためにも、「転ばない身体づくり」=転倒予防はとても重要なポイントになります。

 

「転倒」とは何か

介護予防コラム9でも転倒の定義に触れましたが、今回は別の視点から整理してみましょう。一般的に「転倒」とは、「人がほぼ同一平面上で転ぶこと。つまずきや滑りによって倒れること。と定義されています。

転倒は、
・床や通路で滑る
・段差や突起物につまずく
・足を踏み外す
といった要因によって起こるのです。

これらに共通しているのは、「今立っている地面(床)に倒れる」という点になります。

 

バランスと身体の構造

転倒やバランスを考えるうえで欠かせないのが、「支持基底面」と「重心」です。
介護予防コラム9または介護予防コラム61で詳しく紹介していますので、ぜひ参考にされてください。)本来、三脚のように3点で地面を支えていると安定します。しかし人間は、直立二足歩行のため地面と接しているのは2点のみです。

さらに、重たい頭部が高い位置にあるため、構造的にも不安定です。骨だけでは立位を保つことはできず、靭帯や筋肉によって、かろうじてバランスを保っている状態だといえます。

人に備わっている「バランス機能」

私たちの身体には、転倒を防ぐためのさまざまな機能が備わっています。

① 立ち直り反応
身体や頭が傾いたときに、水平・平衡を保とうとする働きです。

② カウンターウエイト
手足の重みを利用してバランスを保つ機能です。バランスが崩れた際、倒れた方向と反対側に手足を伸ばして立て直そうとします。

③ 足関節戦略・股関節戦略
立位で前後にバランスを崩した際、足関節や股関節の動きを使って姿勢を保つ機能です。例えば、電車の揺れでバランスを崩したときに、つま先を上げて踵で踏ん張ったり、お尻を引いて姿勢を保つ動きがこれにあたります。

 

バランス機能を高めるトレーニング

ここからは、上記の機能を高めるためのトレーニングをご紹介します。動画では細かな動きも確認できますので、ご覧ください。

① 座位でのトレーニング
《座位でのリーチ動作》
ベッドの端や椅子、ベンチに腰掛け、片方の腕を横にできるだけ遠くへ伸ばします。このとき、身体を倒さず、両肩がなるべく水平になるよう意識します(立ち直り反応)。さらに手を伸ばしながら、反対側の腕や脚で「やじろべえ」のようにバランスを取ります(カウンターウエイト)。この運動は、椅子に座って行うグループ体操にも取り入れています。

 

② 立位でのトレーニング
《閉脚立位》
足を閉じて立つことで支持基底面が小さくなり、バランス練習になります。
《継脚立位》
片方のつま先に、もう一方の踵をつけて一直線に立ちます。こちらもバランスを保つのが難しく、効果的なトレーニングです。
《体の動きに対するバランストレーニング》
身体をひねって後ろを向くなどし、姿勢を保ちます。

 

※立位でのバランス練習は、バランス機能を評価する動作と共通するものもあります。
※どのトレーニングも転倒のリスクがあります。必ず手すりを使用する、見守りやサポートを受けるなど安全に配慮してください。また、体調不良や関節の痛みがある場合は、専門家の指示のもと実施・中止を判断しましょう。

 

まとめ

人は本来、非常に不安定な直立二足歩行を行っています。だからこそ、自分に備わったバランス機能を理解し、日頃からトレーニングすることで、転倒のリスクを軽減し、自立した生活を長く続けることにつながります。「転ばぬ先のトレーニング」が大切です。

レッツリハでは、転倒予防・転びにくい身体づくりに力を入れています。いつまでも元気に過ごせる身体を、一緒につくっていきましょう。

今回の執筆者は

Let’sリハ!経堂駅前店
機能訓練指導員/理学療法士
永岡秀治

 

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