【介護予防コラム㉕】~健康は食事から~栄養から考える機能維持!

今回のコラムでは、健康づくりの3要素「運動・栄養・休養」のうち、「栄養」面に着目し、加齢とともに低下していく身体の諸機能の維持のために、「栄養(食事)」にはどんな効果があるのか?を改めて考えていきます。

食べるための機能

「食べるための機能」とはこちらの3つの機能です。

味覚

加齢とともに食べ物や飲み物の味を感じる味蕾(みらい)の部分が減り、服用薬の影響でも味覚が衰え味を感じづらくなります。食事の美味しさを感じにくくなり、食事量が減ったり、食べるものが偏ったりと必要な栄養素を摂取しづらくなります。

嚙む力

高齢になると歯の本数が減り、顎の筋力が低下し食べ物を嚙む力が弱くなります。このため、硬い食べ物を噛み切れなくなり、柔らかい食事に偏りがちになります。

飲み込む力

加齢とともに唾液の分泌量が減少し、食べ物が口の中でまとめられなくなります。上手に飲み込めず誤嚥(食べ物が食道ではなく気道や肺に入る)を引き起こしてしまう危険があります。固形物のみならず、飲料の水分でも誤嚥を起こすこともあります。このため高齢者の場合、食べ物に水分やとろみをつけ飲み込みやすくして食べる必要があります。

このように、食べるための機能の低下は食事内容にも影響し、摂取したい栄養素が偏ってしまうなどの問題を引き起こします。

低栄養の弊害

低栄養とは

低栄養は、高齢になると「食べるための機能」が低下し、上手く食べられないことにより、引き起こされます。「低栄養」の状態では身体に必要なたんぱく質やエネルギーが不足して、健康な身体の維持が難しくなります。この状態が長く続くということは、身体を動かすためのエネルギーや筋肉・内臓・骨・皮膚などの素になる材料が慢性的に不足するということを意味します。

低栄養の弊害

低栄養状態が続くと「フレイル」「サルコペニア」「ロコモティブシンドローム」と呼ばれる症状の引き金になることがあります。

フレイル:健康な身体を維持する機能が低下した、虚弱・脆弱な状態
サルコペニア:筋肉量減少・筋力低下位により、身体の機能が低下する状態
ロコモティブシンドローム:筋肉や骨などの運動器の傷害により、日常生活に支障が出る状態

不足しがちな栄養素

「食べるための機能」の低下により、硬くて噛み切りにくい肉類や野菜が敬遠されることで食事が偏り、「たんぱく質・ビタミン・ミネラル・食物繊維」が不足しがちになります。また栄養素ではありませんが、水分不足に陥りやすい傾向もあります。ここで不足しがちな食事から得られる栄養素の役割について考えていきます。

たんぱく質

たんぱく質は、身体を作る筋肉や内臓、皮膚、血液など身体の主要な構成成分で、大切な栄養素です。肉類・魚類・卵・豆類等から摂取できます。たんぱく質を構成する「アミノ酸」は20種類あり、そのうち9種類は「必須アミノ酸」と呼ばれます。「必須アミノ酸」は食事の栄養から補わなければなりません。

ビタミン・ミネラル

ビタミンはたんぱく質・脂質・糖質の分解や合成を助ける働きを持ち、健康・体調の両面から欠かせない栄養素です。ビタミンは体内ではほとんど合成されず、不足すると欠乏症となる恐れがあります。ミネラルは人の身体に必要な、カルシウム・鉄・ナトリウムなどがあり、野菜・果物・海藻・乳製品などに多く含まれます。

食物繊維

食物繊維は人の消化酵素では消化することができない食べ物の中の成分で、便の量を増やし便秘を防ぐほか最近では心筋梗塞や糖尿病・肥満などの生活習慣病の予防に役立つこともわかっています。穀物・いも・豆・野菜・果物・きのこ・海藻などに多く含まれています。

あわせて知りたい! 基礎代謝について

基礎代謝とは、生命活動を行うための必要最低限のエネルギーです。
「必要最低限」と聞くと少ない印象ですが、一般的に総エネルギーの60~70%を占めます。

平均的な基礎代謝の内訳はこの通りです。

たとえ活発な活動を行わなくても、体の中ではこれだけの器官が毎日エネルギーを必要としています。栄養の不足がなぜ日常生活に支障を来すのかがよくわかりますね。

体の状態に合わせた食事の工夫と運動のすすめ

低栄養を予防し、身体の諸機能をより良い状態にもっていくためには、

  • 「食べるための機能を保つ」
  • 「バランスよく食事をする」
  • 「身体を動かす(適切な運動を行う)」

この3つが重要です。

食べるための機能を保つ

食べるための機能として、味覚・噛む力・飲み込む力の3つを挙げました。この機能を保つためにできることをご紹介します。

  • 味覚→亜鉛を摂る

味覚はミネラルの中に含まれる「亜鉛を摂る」ことで、味を感じる「味蕾(みらい)」を作る重要な成分となります。牛肉や卵に多く含まれます。

  • 噛む力→よく噛む

噛む力を保つには「とにかくよく嚙む」こと。食べ物をよく噛むことは胃や腸の負担を減らし、唾液の分泌を促す効果もあります。

  • 飲み込む力→水分を摂る

飲み込む力のために必要なのは「口の中の水分を増やす」こと。水分があることで食べ物が口の中でまとまり、飲み込みやすくなります。普段から水をよく飲み口腔内を潤しましょう。

3つの機能は使わないことで少しずつ衰えていきます。意識して味わい、回数を多く噛み、ゆっくり飲み込むことを意識しましょう!

バランスよく食事をする ~食事の工夫~

定食型の食事

バランスよく栄養素を摂取するには、丼物や麺類より、一汁二菜・一汁三菜と言われる「定食型」の食事がおすすめです。定食型は、主食・主菜・副菜に加え汁物が定番ですので、身体を維持していくために必要な栄養素を満遍なく摂取することができます。

バランスよく食事をする ~調理の工夫~

加齢とともに「食べるための機能」が低下していくことから、調理にひと工夫を加えて食べやすくすることで、栄養を偏りなく摂ることができます。個人の状態に合わせて食べやすくしていきましょう。

  • 肉や野菜、いも類は食べやすいサイズにカット
  • 野菜などは時間をかけて加熱し柔らかく
  • 飲み込みを助けるため必要に応じとろみ調整食品などを利用

身体を動かす

食事と運動は、健康づくりの両輪です。
以前のコラムでも紹介した、筋肉に適切な抵抗(レジスタンス)をかける運動を心がけましょう。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。

迷った時の合言葉

ここまでを簡単にまとめると、「バランスの良い食事をおいしく食べることが大事」ということを書いてきました。とはいえ、毎日の食事の各栄養素を調べて計算するのは手間もかかって難しいですよね。そこで栄養バランスのとれた食事を摂るための「合言葉」をご紹介します。

「まごわやさしい」は食品研究家で医学博士の吉村裕之先生が提唱されているバランスの良い食事の覚え方です。「まごはやさしい」この言葉を使った書籍が数多く出版されています。それほどに健康バランスの良い食材が揃った言葉なのだと言えます。昔から食べられてきた日本人に馴染みのある和の食材ですので、一品からでも気軽にメニューに取り入れて偏りがちな栄養を整えてみてはいかがでしょうか。

まとめ

生活習慣や運動、食事は人の健康の基本となるとても大切なことです。高齢者や要介護者の方は低栄養状態になる可能性が高くなります。日々の食事に工夫をすることで、低栄養の予防につなげていきましょう。

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参考文献

厚生労働省 簡易生命表(令和2年)

厚生労働省 日本人の食事摂取基準(2020年版)


今回のコラム執筆者

レッツリハ!谷中言門
健康運動実践指導者 入間川 浩