【介護予防コラム㉚】不調の裏には足の裏?支えているのは健康です。

皆さんは足が第2の心臓と呼ばれるほど重要な働きがあることをご存じでしょうか? 血液が心臓→足→心臓へと循環するために血液を全身に送り出すポンプの役割として足の筋肉が働いているのです。そんな足を支えているのが今回のテーマである「足の裏」になります。

足の裏を見てみよう

皆さん、ご自身の足の裏を観察したことはありますか? 足の裏のコンディションを整えることは足の機能を保ち、健康な身体を目指すことにつながります。まずは現在の足の裏の様子を観察してみましょう。

・アーチがない → 足の裏の筋肉の衰えによりアーチの低下が起こって偏平足になっています。(足の骨のゆがみが原因の場合もあります

・タコや魚の目 → 足の裏にかかる体重の偏り(重心位置の偏り)があります。

・骨が変形している → 槌指(ついし・つちゆび・マレットフィンガーとも)、スワンネック変形など。放置しているとさらに曲がってしまうこともあります。

・親指が内側に入る → 外反母趾(がいはんぼし)により痛みを伴います。

・足の裏、アキレス腱がかたい → 偏平足(へんぺいそく)、足底腱膜炎(そくていけんまくえん)、足底筋膜炎(そくていきんまくえん)など痛みによって歩行が困難になることもあります。

 

これらの症状は脳卒中・変形性関節症・関節リウマチなどの疾病でも起こりますが、日頃の歩き方や癖、スポーツやダンスなどによっても起こります。つまりどの年代でも接する身近な問題なのです。

膝の痛みは足の裏からの危険信号?

足の裏と膝は骨を伝った筋肉でつながっており、足の裏の健康状態が悪ければ筋肉と骨を伝って膝周りに影響が表れることになります。足の裏の健康状態にいち早く気づくために、膝とのつながりについて見ていきましょう。

膝から足にかけて2本の長い骨があり、太い方が「脛骨(けいこつ)」、細い方が「腓骨(ひこつ)」といいます。脛骨は脚の「すね」を形成している骨で足首の「内くるぶし」の骨でもあります。腓骨は足首の「外くるぶし」の骨です。

先程の骨の名称がそのまま筋肉にも使われていますね。それぞれの骨に沿って筋肉が足の裏まで伸びているのが確認できます。下腿三頭筋(かたいさんとうきん)とは、ふくらはぎの筋肉です。この筋肉も下の方で「アキレス腱」となって踵(かかと)の骨につきます。

足裏のアーチは、膝下からの筋肉である後脛骨筋(こうけいこつきん)や長腓骨筋(ちょうひこつきん)などによって構成されています。 これらがバネのように作用することで衝撃を吸収する役割を担います。このバネがアーチの低下によって上手に機能しなくなると膝に悪影響を及ぼします。さらに悪化しないように、足の裏から健康を目指しましょう。

足の裏の大切な2つの役割

足の裏の大きな役割は主にこの2つです。

地面からの衝撃吸収
バランス機能の安定

人間の体を支えている足の裏は、地面からの衝撃を吸収しバランスを保ちつつ、反動で身体を動かす力(反作用)が発揮されます。

正常な足の裏の場合
足の裏で衝撃を吸収
各関節に分散させバランスを保持

筋肉が低下した足の裏の場合
足の裏の筋肉の低下によりアーチが下がり、衝撃の吸収分散がされず各関節へのストレス増加
バランスが保てなくなり不安定に
転倒、つまづきなどのケガや不調を生じやすくなる

さらに、下記の研究では膝に疾患を抱える人と健康な人の足の裏の関係について比較検証されています。

膝OA患者はその姿勢制御において足底感覚からの情報を多く利用していることが示唆された.このことから膝OA患者の姿勢制御に対する理学療法では,障害関節へのアプローチだけではなく,〔中略〕足底感覚に着目した介入も重要であると考えられた.
引用元 (千葉健・山中正紀・武田直樹:変形性膝関節症患者の重心動揺における足底感覚の影響ー理学療法学,27(1):15–20,2012)

このことから、変形性膝関節症にも足の裏の感覚が関与していることがわかりました。足の裏を鍛えてアーチを支えることができれば、このようなケガや不調の防止につながります。

Let’sトレーニング&リラックス!

正常な足の裏の機能を得るために、アーチを支える筋肉を鍛えていきましょう。同時に、疲労を緩和し血流を良くするマッサージもご紹介します。

タオルギャザー

用意するもの
・タオル

効果
足裏の筋肉が鍛えられ、バランスを取る際の踏ん張りや姿勢を立て直す能力を高めます。

かかと上げ(カーフレイズ)

効果
アキレス腱からふくらはぎの筋肉をしっかり使えるので柔軟性が高まります。

グーチョキパー

効果
足の裏のストレッチの効果があり、血流改善や筋力の向上になります。

足の指を開く

効果
身体のバランスが整えられて、姿勢が良くなります。
足指の付け根には疲労回復のツボが集中しているため、足指を広げるだけでも疲労回復やリラックスになります。

マッサージ

足の先には動脈と静脈を結ぶ血管があり、心臓から送り出された血液は動脈を通り足先を巡回して静脈血に合流します。浸透圧が低かったり老廃物が多いと流れにくくなり浮腫(むくみ)や感覚の低下(冷え)を引き起こすこともあるので、入浴中や入浴後の身体が温まっているときに足先や足の裏を刺激することが予防になります。なおリフレクソロジー※や足つぼマッサージも場合によっては有効ですが、痛みがあるときは整形外科を受診される方が良いでしょう。

※リフレクソロジー 足の裏などの特定の部位を押すことで身体の特定部位に変化が起こるという考えのもと、疲労の改善などを行う代替療法

 

悪い姿勢の代償

正しい姿勢で立っていれば体重は足の中央にかかりバランスよく筋肉が使われ、筋肉の作用で脚のアーチを保つことができます。しかし、姿勢が悪くなり重心の位置が後方(踵重心=骨盤後傾)になると足全体で体重を支えることができず、体重や重力により偏平足になりやすい状態に。つまり、良い姿勢を保つことも偏平足の予防につながるのです。

図にあるような正常な姿勢を日常から心がけたいですね。

最後に

足の裏の健康は日常的な動作の「歩く」に直結します。「歩く」という行為だけでも私たちは身体をフル回転させています。日常に必要な動作を継続できるよう、足の裏から健康を見直していきましょう。レッツリハ!では「歩く」お手伝いもさせていただいています。

以前の介護予防コラム⑲「正しい歩き方で見た目年齢が若返る?」も参照にしていただければ幸いです。

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今回の執筆者は…

レッツリハ!名古屋葵
理学療法士 亀谷美紀


参考文献

(千葉健・山中正紀・武田直樹:変形性膝関節症患者の重心動揺における足底感覚の影響ー理学療法学,27(1):15–20,2012)