【介護予防コラム60】誤嚥予防以外にも効果が!嚥下体操から始めるアンチエイジング
「嚥下体操」という言葉を聞くと、誤嚥性肺炎を予防するために高齢者が行うものというイメージをお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。もちろん、誤嚥しないような身体づくりとして嚥下体操を行うことは、とても大切なことです。しかし、誤嚥予防以外にも、「嚥下体操」には様々な効果が期待できるといわれています。
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口の機能と唾液の役割
現在Let‘リハをご利用いただいている方の中には、筋力の衰えを感じ、「運動したい!」とご利用を決められた方もいらっしゃることでしょう。何も運動を行わないと、加齢に伴い徐々に全身の筋力は低下していきます。
一般的に筋力が落ちたと感じるのは、握力が弱くなったり、足のふらつきが気になったり等、「身体機能の低下」がイメージしやすいのではないでしょうか。しかし、年齢とともに自然と「顔や喉の筋力」も低下していきます。顔の皮膚の下には体と同様に沢山の筋肉があり、その筋肉を動かすことで、会話をスムーズに行ったり、表情を変えたり、食べることができます。コロナの流行に伴った長期間のマスク生活や他者との交流の機会の減少によって、顔の筋肉を使う機会が減少してしまっているかもしれません。マスクを外してみて「なんだか顔のしわが増えた」と感じている方は、それが原因の一つだといえます。他にも、最近、食事中に水分がむせるようになったり、薬などが飲みづらくなったりといった症状を感じることはありませんか? 口周りや顔の筋力の低下は飲み込む力の低下にもつながっていきます。
今回は顔や喉の筋力を低下させず、アンチエイジングにつなげていくためにも、口周りの筋肉に関する正しい知識を身に着けていただき、ぜひやっていただきたいお口の体操をいくつかご紹介させていただきます。
それでは初めに、口の機能や唾液の役割について簡単にご説明します。
【口の機能】
・食べる(栄養を摂取し、生命の維持につながる 食べ物をおいしいと感じたり、食欲が満たされたりすると、幸せな気持ちになる)
・話す(他社とのコミュニケーション、社会性の維持)
・呼吸する(生命の維持、酸素をとりこみ、二酸化炭素を排出する)
・表情を作る(言葉だけでは伝わらない感情を伝えることができる)
・唾液を分泌する(唾液を分泌し、細菌やウイルスから体を守る)
特に「唾液」は、お口の健康を維持するために必要不可欠なものになります。意外と知られていない良い効果がたくさんありますので、唾液をしっかり出すこともお口の体操の目的の一つになります。
口の筋力低下のサインを見逃さない!
□最近口周りのしわが増えた
□もともとあったしわが深くなった
□食べ物やくすりなどが飲み込みづらい
□滑舌が悪くなったといわれる
□水分でむせるようになった
このような症状が出てきたら要注意です。顔の皮膚の下にある筋力が衰えると、食べこぼしが増え、飲み込みづらさを感じるようになります。
食べ物を飲み込む際に、舌の運動も重要になってきます。舌を動かす運動や、唾液腺のマッサージについては、以下の介護予防コラム24・53の方で紹介されていますので、ぜひご覧ください。
◎【介護予防コラム24】お食事前の1分筋トレで、誤嚥性肺炎を防ぐ!
◎【介護予防コラム53】身体は食べたものからできている!食事から高血圧や認知症を予防しよう!!
Let’リハ!嚥下体操
今回は当事業所で行っている嚥下体操を一部ご紹介します!
まとめ
今回はご紹介できませんでしたが、お口の健康を維持するためには、日ごろの歯磨きの習慣も大切になります。虫歯がある場合は早めに虫歯の治療を行ったり、入れ歯の調整を行い、おいしく食べることができるお口の環境づくりも重要になります。
当事業所は半日型の店舗ではありますが、嚥下体操の時間を設け、嚥下体操や、早口言葉のトレーニングを定期的に行っています。皆さんも、お口周りの筋力低下のサインを見逃さず、「おかしいな?」と思ったらお口の体操を是非やってみてください。
今回の執筆者は…
Let’sリハ!九品寺店
看護師
原 理絵